東京と千葉を結ぶ大動脈、JR総武線。小岩、本八幡、下総中山、西船橋、そして船橋——。ガード下には赤提灯が灯り、せんべろ居酒屋やスナックがひしめくこの街に、近年急速に発達した新たなコミュニティが存在した。LINEオープンチャット(以下、オプチャ)である。
見知らぬ呑兵衛たちが「今夜飲める人!」「西船でKP(乾杯)!」と呼びかけ合い、夜な夜な杯を交わす。一見すると現代の都会における人情酒場のようなこの場所に、突如として「血の粛清」と「分派独立」の嵐が吹き荒れることになるとは、誰が予想しただろうか。
これは、2026年晩夏、総武線沿線の飲み系オプチャを舞台に繰り広げられた、メンヘラ管理人と客引きヤンキーの全面戦争、そしてその狭間を飄々と生き抜いた「ある呑兵衛(そんし)」の完全犯罪の記録である。
すべての悲劇の始まりは、8月29日ではない。その1ヶ月近く前から、水面下で深い亀裂は生じていた。
総武線オプチャの元・盛り上げ役であり現場幹事だったTERU(木内)には、知られざる裏の顔があった。船橋駅南口・仲通りの歓楽街に位置するカラオケスナック「シリウス」でのバイト(送客・客引き)である。
7月31日の中村バースデー船橋オフ会や8月上旬の飲み会で、一次会後にTERUが主導して二次会・三次会(美夢、ほのか、シリウス等)へとメンバーを誘導。しかし、連れて行かれた古参メンバー(ひま、ハンコック、TERAテラら)から、管理人の師匠の元へ深刻な被害相談が寄せられるようになった。
「事前に料金の説明が全くなかった」「勝手にドリンクを何杯も付けられた」「最終的に高額請求された」
「スナックとの営利コラボなど絶対に容認できない」と師匠は激怒。追及を察知したTERUは、8月16日(日)未明のスタンプ投稿を最後に、総武線オプチャでの発言を完全に停止し、両者の関係は冷戦状態へと突入した。
そして8月28日(金)未明、オプチャ内に何者かによって「シリウス」の写真が投下されたことで疑惑が決定打となる。TERUは師匠に個別LINE(画像4)で「写真載せてるけど僕は呼んでませんので!誤解しないで下さいね⭐️」「あの日のように何もなかったことにしてくれればいいんですけどね笑😆」と電話を懇願するが、師匠は着信拒否。LINEをブロックされたTERUは逆上し、師匠の過去の女性スキャンダルを暴露しながら宣戦布告。両者の決裂は決定的なものとなった。
「客引きヤンキー」 vs 「女性漁り疑惑のメンヘラ教祖」。
大義名分を掲げた戦争の裏で、互いのドロドロとした急所を抉り合う、救いようのない泥試合がすでに8月28日時点で火を噴いていたのである。
冷戦と絶縁の直後、2026年8月29日(土)夜、船橋駅周辺で師匠主催の定例飲み会が開催された。
体調不良で頭痛薬を飲みながらも「自分が欠席すると飲み会が流れてしまう」と無理を押して参加した師匠。しかし、予約や席の混乱からメンバーとの和が乱れ、悪態をつかれた師匠はメンツを粉々に粉砕され、頭痛薬も切れて途中で単身帰宅してしまう。
さらに日付が変わった8月30日(日)午前0時過ぎ、憤怒のあまりLINEオプチャの「退会」ボタンを押し、自ら姿を消した。世に言う「師匠のセルフぽあ(自発的退会)事件」である(観測者のそんしも「セルフぽあされてしもうたのじゃ。。。」と目撃ログを残している)。
師匠が途中帰宅した現場では、残ったメンバーたちが「歩乃歌(カラオケバー)」へ移動。そして深夜、近隣のシリウスでのバイトを終えて偶然通りかかったTERUが、歩乃歌ビル前でメンバーたちと出くわす。メンバーから「マルヤス行こう」「日高屋行こう」と誘われたがTERUは断った。
だがTERUは、この遭遇をわざわざ師匠への挑発LINE(画像8)として送信してしまう。
「バイト後にほのかの前通ったら、師匠が怒って帰った後でみんな居てびっくりしました!……夜道は気をつけて下さいね!怒って変な人に絡んだりしないで下さいね😂」
この煽りメッセージが、師匠の猜疑心に油を注ぎ、後に「TERUが歩乃歌の下で待ち伏せして部下をオルグ・洗脳した!」という奇怪な被害妄想を生み出す決定的な種となったのである。
8月31日夕方、師匠は何食わぬ顔でオプチャに復帰した。しかし、完全に決裂したTERUとぷっぷ(まゆゆ)は、9月2日、新オプチャ「新・船橋発🍻居酒屋🏮カラオケ🎤楽しく飲み会」を電撃旗揚げした。
迎えた9月4日(金)夜。西船橋に集結したメンバー(TERU、まゆゆ、🖍️しんちゃん、光輝、ちぃー、オラフら)は一次会から大盛り上がり。22時からの二次会「ぜっこうちょう」には、まゆゆから誘われたそんし(卓球帰り)と、総武線で全体募集をかけていたみすずが合流。そのまま三次会へとなだれ込み、朝5時過ぎまで呑み明かした。
新・船橋陣営が朝までKPと叫んでいたその裏で、師匠は8月29日定例会の傷が癒えず、深夜1時半に暗闇から長文のお説教を投稿していた。
そして9月5日午前11時04分、師匠の怒りは沸点を突破。全体チャットに戦慄の怪文書を投下した。
師匠は元・寵愛枠だった「ちぃー」をTERUオプチャ参加の罪で即座に強制退会(粛清)処分とした。ここから、血で血を洗う魔女裁判が幕を開けたのである。
新・船橋の飲み会と参加メンバーが師匠に筒抜けになっていたことで、新オプチャ側では「誰が漏らしたのか!?」という激しい人狼ゲーム(犯人探し)が勃発した。
幹事・まゆゆは当初、チャットに返信せず完全沈黙していたスバルを疑い、次に二次会に乱入してちぃーにフラれLINEブロックされた光輝(松井雅和)を「二枚舌スパイ」として犯人扱いした。
このメッセージが示す通り、師匠は「みすず、ちぃ、そんし、光輝」の4人を同列の裏切り者(TERUに洗脳された組)として把握していた。
ちぃーが粛清されたその裏で、師匠の魔の手はそんし(ジニー)の元にも伸びていた。
この瞬間、歴史が動いた。
そんしは、怯える女性陣を一切売らず、すでに師匠と全面戦争状態にある「TERU」の名前だけを差し出した。すると師匠の脳内で、サイゼ監視や先週のトラウマ店「歩乃歌」がショートし、「TERUが歩乃歌の下で暗闇から待ち伏せしてジニーさんを路上オルグした」という妄想回路が勝手に完成したのである。
「ジニーさん惚れました、絆です」。
狂乱の独裁者を完全に手玉に取り、そんしは師匠にとって「絶対不可侵の筆頭家老」のポジションを不動のものとした。
師匠が怪文書で激しく告発した「TERUによるスナック営利・客引き・ぼったくり」。これは完全なでっち上げだったのか? 検証の結果、「現場での料金トラブル自体は動かぬ事実(ガチ)」であることが判明した。
TERU自身が師匠に送ったLINEで「シリウスのバイト後にほのかの前を通ったら…」と自供している通り、シリウスは「歩乃歌」と同じ船橋駅南口・仲通り歓楽街エリアに実在するスナックである。
そして、師匠に「高額請求された」「勝手にドリンクを付けられた」「事前に料金説明がない」と直訴したのは、連日飲み歩く古参の酒豪トリオ「ひま」「ハンコック」「TERAテラ」であった。
大衆酒場で「1杯300円・せんべろ」に慣れ親しんだオプチャ民が、二次会でスナックへ流れた場合、セット料金(数千円)や女の子へのご馳走ドリンク代(1杯1,000円〜)が容赦なく加算される。事前の説明不足が引き金となり、「勝手に飲まれた!ぼったくられた!」という大摩擦へ発展したのが真相であった。
しかし、感情的にオプチャで騒いでも金は戻らない。法的には「事前の合意・説明がない請求(民法522条・契約不成立)」や「暴利行為」に対しては徹底して支払いを突っぱねる姿勢こそが最大の自衛策なのである。
9月5日夜、師匠は総武線オプチャに「飲み会禁止令(戒厳令)」を敷いた。オプチャは静まり返り、恐怖と疑心暗鬼が支配する北朝鮮のような空間へと成り下がった。
一方で、追放されたちぃーを迎え入れた新・船橋発オプチャも監視を恐れて一時解散を余儀なくされ、光輝は冤罪によって居場所を失った。
独裁者の妄想をコントロールし、すべての濁流を乗り越えた稀代の軍師・そんしは呟く。
「ワシは、卓球やピアノ会などさまざまなコミュをみてきて、主催者は基本不要と感じておる。ただのコンテキストをLINEOCなどでつくったにすぎん。」
オプチャを自分の王国と錯覚し、神になろうとした主催者は自滅した。酒飲みの場とは、ただの「器(コンテキスト)」にすぎない。器さえあれば、人は勝手に集まり、勝手にKPし、朝まで笑い合って生きていくのだ。
そんしは近々、名前とアイコンを変えて、新たな酒宴へと静かに再潜入(ステルスリターン)する予定である。もちろん、語尾の「〜のじゃ」だけは絶対に封印して。
(完)